神戸大学サイエンスショップでは、市民の方々が科学研究を楽しむためのサポートをおこなっています。現在、サイエンスショップで研究活動をおこなっている吉橋佑馬さんの研究をはじめ、学部生の方々に授業の中で取り組んだ課題研究や卒業研究の内容を発表していただきます。
また、特別ゲストとして人と自然の博物館の地域研究員としてハヤブサの研究をされている溝田浩美さんをお迎えします。
みなさんの研究への取り組み方はいろいろですが、科学研究の楽しみとはなにかを感じていただければとおもいます。
皆さまのご参加をお待ちしております。
当日の様子はこちら
□日時:2010年3月31日(水)13:30~16:00
□会場:神戸大学発達科学部B棟208教室
□参加:無料(予約の必要はありません)
□主催:神戸大学サイエンスショップ
*発表時間はおおよその目安です
●「納豆菌の水質浄化能力について」13:30-13:50
赤松大地・石橋杏奈(神戸大学発達科学部1回生)
私たちの生活に身近に存在する菌類。その中でもさらに身近にあると実感することのできる納豆菌。その利用方法は主に大豆を納豆にすること。しかし、そのほかにも納豆菌には水をきれいにする水質浄化能力があると、テレビや本などで紹介されている。では、それは本当なのかどうか今回検証してみることにしました。その方法として今回はパックテスト、ビオトープの水を使用し、納豆菌を混入した前と後で数値はどのように変化するかを確かめました。納豆菌を納豆から取り出す方法などどのようにして行うか、それらを考える時間は思っているよりも楽しい時間です。始まったばかりの研究なのでまだまだ不足点はありますが、それで研究が楽しいと感じていただければ嬉しいです。
●「ハヤブサの落とし物~住宅街の高圧鉄塔におけるハヤブサの狩りと食性~」13:50-14:20
特別ゲスト・溝田浩美(ひとはく地域研究員)
ハヤブサは主に鳥類を餌としている昼行性猛禽類です。非常に速い飛行速度を持ち空中で獲物をとらえます。そのため狩りをするための広い空間が必要で、日本では主に海沿いの切り立った崖を生活の場としています。しかし、このハヤブサは住宅街に立つ鉄塔を狩りの場として利用しており、捕えた獲物の調理もこの鉄塔の上で行っています。その時に落ちてきた羽根や食べ残しからハヤブサの食性を調べていくわけです。落ちてきた羽根は一見同じように見えますが、いろいろなことを語りかけてきます。羽根が語りかけてくる情報を読み取とり、同定していくことは根気のいる作業ではありますが、非常にわくわくドキドキする作業でもあります。今回はこの羽根の語りかけてくる情報についてお話しさせて頂きたいと思います。
●「ふしぎな生きもの「変形菌」~変形菌は、どうして納豆が嫌い?~」14:20-14:50
吉橋佑馬(神戸市立東落合中学校1年)
変形菌というのは、花壇の植え込みなどとても身近にいる生き物です。変形菌は菌とついていますが、いわゆる菌とは違います。アメーバのようにえさを求めて這い回る変形体という時期とキノコのように子実体を作る時期があります。変形体はえさを求めて這いまわるので、これを利用して小3の夏休みに変形体に様々な食品を与えて調べてみました。すると、納豆や味噌、梅干などに近づくことすらできず円状に取り囲んでいました。この円のことを阻止円と言い変形体が生きていけるギリギリのところで作る円のことです。今回の発表では、このような変形菌の面白い性質を紹介します。
-----コーヒーブレイク-----
●「二十日大根によるビスフェノールAの分解と植物体への影響」15:05-15:25
大西啓太(神戸大学発達科学部人間環境学科3回生)
化学工業の発展により人間生活は豊かになりました。しかしその反面、化学は水俣病などの公害を引き起こしたり、オゾン層の破壊などの環境問題の原因となるなどの悪い一面もあります。そこで「化学を使って環境によいことができないか」という考えのもと、「環境ホルモン」の可能性が示唆されるビスフェノールAという化学物質を、二十日大根という植物を用いて分解することにチャレンジしてみました。二十日大根はビスフェノールAを分解することができますが、そのことによって植物体には悪影響が出てしまいます。発表の最後には二十日大根への悪影響を軽減するための工夫についてもお話させて頂きたいと思います。
●「阪神地区におけるトノサマガエル集団の遺伝的構造~生息地周辺の景観が与える影響~」15:25-15:45
道本久美子(神戸大学発達科学部人間環境学科4回生)
都市開発に伴う水田環境の変化は、そこに棲む生物の個体数を大きく減少させています。トノサマガエルはかつては水田に普通に見られる種でしたが、近年は全国各地で減少が報告されています。今回の研究では生物集団の存続に大きく影響する遺伝的多様性に注目し、里山域から都市部にかけての21地点においてトノサマガエル集団の遺伝解析を行いました。また調査地周辺の景観構造の解析も行い、それらの結果から都市部においてもトノサマガエル集団を維持し続けることのできる環境とは何かを考えてみたいと思います。
□ お問い合わせ先:
神戸大学サイエンスショップ E-mail: ss-stf@radix.h.kobe-u.ac.jp