神戸大学サイエンスショップでは、市民の方々が科学研究を楽しむためのサポートをおこなっています。
今回の発表会では、サイエンスショップで支援している研究、高校の授業の一環として高校生と大学院生の協同研究、
さらに、発達科学部の卒業研究の内容を発表していただきます。
みなさんの研究への取り組み方はいろいろですが、科学研究の楽しみとのはなにかを感じていただければとおもいます。
皆さまのご参加をお待ちしております。
□日時:2011年3月30日(水)13:30~16:05
□会場:神戸大学発達科学部B棟210教室
□参加:無料(予約の必要はありません)
□主催:神戸大学サイエンスショップ
□共催:ひょうご・サイエンスクロスオーバーネット
*発表時間はおおよその目安です
●「月の歴史と月の砂レゴリスについて」13:30-13:50
中村悠真(神戸市立向洋中学校2年)
地球は今から46億年前に誕生したと考えられています。月も同じ頃、地球のそばで誕生しました。月には大気がないため、衝突する流星が燃え尽きることもなく、地表にぶつかりクレーターを作ります。そして地表は粉々になり、月の表面を覆っている細かい砂(レゴリス)になります。地球から見ると白く見える部分です。月の表面のクレーターやレゴリスそして溶岩で出来た海などを調べることで月の歴史が分ります。月の歴史は地球の初期の出来事を理解するのに役に立ちます。今回は、このレゴリスに注目して、月の歴史について発表します。
●「宇宙アサガオの成長記録~地球アサガオとの違い~」13:50-14:10
笹井綾乃(神戸国際中学校3年)
2008年3月11日から9ヶ月間、宇宙で過ごしたアサガオの種子を栽培し成長観察をおこないました。アサガオの種子は「ムラサキ」と呼ばれる標準系統です。宇宙で過ごした種を、「宇宙フライト実験群」としました。これとは別に、地上において宇宙放射線の一種を照射した種を「地上照射群」とし、とくに放射線の被曝がない種を「地上対照群」として栽培を行いました。3つのグループ間で、発芽率、生存率、平均開花数、平均結実数、平均種子数を観察した結果、宇宙へ行ったアサガオは、発芽後の子葉が変形した変異体がみられました。また、生存率や結実数などにもグループ間で差が見られました。宇宙アサガオと地球アサガオの相違点をお話したいと思います。
●「モジホコリの変形体が生きていく戦略とは~酸性の環境と微生物との関係~」14:10-14:30
吉橋佑馬(神戸市立東落合中学校2年)
2005年から継続して変形菌モジホコリの阻止円について研究しています。今年は変形体に影響を及ぼす酸性環境を中心に、他の微生物との関わりにも踏み込んで、変形菌が自然界で生きていく戦略を探りました。酸性物質に対する拒否反応には、酸の一定以上濃度と腐食性などの性質が関係していることがわかりました。微生物との関係では、今回の条件下では変形菌の方が強かったが、変形体の移動速度が速いことが大きな要因であると考えられます。変形菌は「動く」ことで危険から逃げ、より良い環境に移動しながら成長することを戦略として選んだということを中心に紹介します。
●「宇宙の謎〜素粒子(μ粒子)〜」14:30-14:50
田邊滉平・北村健音・嬉野萌子・西尾欣恵・三木玲那(兵庫県立兵庫高等学校1年生・創造基礎第4班)
私たちの班は、今まさに地球上のあらゆるところに降り注いでいる宇宙線について研究しました。神戸大学で専用の実験器具を使って宇宙線が降り注ぐ数と角度を測定し、私たち高校1年生の知識でもできる考察を行いました。研究を始めた頃は、難しい専門的な用語や難解な内容に、理解することに苦労しましたが、大学院生の分かりやすい説明や実習のおかげで、興味を持って研究することができました。 今回はその成果を発表します。
-----コーヒーブレイク-----
●「ボトリオコッカス ~地球の未来を救う~」15:05-15:25
本田尚之・木原健輔・大石紗英・西山由美・水野遥(兵庫県立兵庫高等学校1年生・創造基礎第5班)
私たちの班は、これからの地球環境の未来を救うことが期待されるボトリオコッカスという藻類について研究しました。事前にボトリオコッカスの優れている点について自分たちで調べたり、大学院生に教えていただいたりして、大変興味を持ちながら研究しました。最終的には神戸大学の研究室でボトリオコッカスのDNAを検出する実験を行い、今後の地球環境にもたらす影響について考えました。
●「風化のメカニズムを探る」15:25-15:45
丹羽萌子(大阪府立大手前高等学校3年)
大阪城の石垣や、関西地方の山々は花こう岩からできています。その花こう岩が風化するとマサ土という、いわゆる学校のグランドの土になることはご存知でしょうか。私は「石材の花こう岩を実験によって風化させマサ土にする」こと、すなわち、自然界では何千年もかかる現象を実験室内に再現することを目標として実験を行いました。そしてそれにより風化のメカニズムを明らかにすることを目指しました。今回は私たち関西人には身近な花こう岩を用いた風化の研究についてお話ししたいと思います。
●「チョウセンカマキリにおけるセクシャルカニバリズムの適応的意義」15:45-16:05
中本幸太郎(神戸大学発達科学部人間環境学科4回生)
カマキリは交尾の際にオスがメスを食べることがあり、これをセクシャルカニバリズム(性的共食い)といいます。オスは食べられることで死んでしまうので、その個体にとっては損になります。しかし、しばしば、食べられたオスがその後に、メスと交尾をしている行動が観察されています。たとえ食べられても、もしオスとして子どもをたくさん残せるのならば、食べられることもオスにとって利益となります。今回は、オスがメスにたべられてしまうとき、どんなメスに食べられるのか、食べられたあとも交尾ができるのか、食べられたあとの交尾はどのようなものか、詳細な行動観察の結果をお話ししたいとおもいます。
このイベントはJST「地域ネットワーク支援」を受けて開催されます
□ お問い合わせ先:
神戸大学サイエンスショップ E-mail: ss-stf@radix.h.kobe-u.ac.jp